『断絶』
シネヴィヴァン六本木でリヴァイヴァル公開を見たのは95年かあ。
ヴェンダースみたいなロードムービーを期待して行って、よくわからなかったんだよね、あのときは。
それから、DVDを買って、だんだん好きになっていった。
ヘルマンといえば何と云っても『コックファイター』に魅了されまくって、それ軸にして『銃撃』とか『旋風の中に馬を進めろ』と広げていった。
『断絶』を好きって、なんか映画ファンとしてもアウトロー気取ってるようで気持ちがいいんだ。
フランス映画好きのようにアート志向じゃないよって釘差しつつ、
かといって、ベタなアメリカンニューシネマともちょっと距離を置くが、
でも一応、カーレースの映画でもあるし、アメリカ映画には違いないよ、と。
これを好きっていっておけば、ナメられないってかんじがあったよね。
感覚としては、アメリカンニューシネマ+『気狂いピエロ』ってところ。
ガソリンスタンドやダイナーなんかでダラダラしてるところが異常にいいんだよね。
車を爆走させることにはほとんど興味がないというね。
ウォーレン・オーツはもちろんいいんだけど、
かっこいいマシンに乗ってる男なら誰にでもくっついていっちゃうローリー・バード(アート・ガーファンクルの恋人だった人で、79年に自殺している。『果てなき路』は彼女に捧げられている)という女の子の薄さがなんともいい。
『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』の女とは逆で、『ダーティ・・・』のほうは、うぜえなこの女、置いてっちまえ!ってないがしろにされてるんだけど、『断絶』は尻軽であっちこっちマシン(男)を乗り換えながら、最後は、ハーレーの男とどっか行っちゃうってのがあっさりしてていい。
まあなんつっても、改造型シボレーがキメ手だよね。
ヘルマンは70年代においては、アルトマンと両巨頭だね。
『果てなき路』
いくら、『断絶』や『コック・ファイター』がいいといっても、これは次元が違う。
21年間のブランクの間にヘルマンは一旦死んで地獄に堕ちて、まったく新しい映画作家ヘブンとなってよみがえったのだ。
冒頭1分だけで、全身が震えるような興奮を覚えた。
21世紀の最高傑作じゃないかと思えるくらいに。
劇中、数々の映画が登場するが(ヘルマンってシネフィルだったんだ!)
まずもって、最初でノックアウトされてしまった。
ファーストシーン、ノートパソコンのモニターにゆっくりカメラが寄っていって、パソコンの中で再生されているムービーの中の世界に入り込んでゆく、
そこでは、ベッドの上で映画の中の映画の主演女優ヴェルマがドライヤーでネイルを乾かしている、今世紀最高のショットいってもいい、素晴らしいショット、ここで流れる曲!
“HELP ME IT THROUGH THE NIGHT”!!!!!
他に引用されているどの映画よりも、ここで泣けない奴はモグリだ!
シネフィルを名乗っているのなら今すぐやめるべきだ。
プレストン・スタージェスやビクトル・エリセやベルイマンなどがセンスよくチョイスされていようが、フラーやアルトマンの名が口にされようが関係ない、
そんなことはどうでもいいのだ。
この曲を流されたらもうあと2時間、なすすべもなく全部ヘルマンにもってかれるよ。
ジョン・ヒューストン。
『ゴングなき戦い(ファット・シティ)』。
あまりにもすばらしいこの女優シャニン・ソサモンとステイシー・キーチの肌着姿がオヴァーラップでだぶってしまい、やられた!と。
クリス・クリストファーソンの曲だよ!!
『果てなき路』のなかでどんな引用よりも感動的な引用でしょ。
パンフレット買って読んだけど、誰もそのことには触れてないね。
もちろん、この映画はそれだけじゃない。
仮に、ヒューストンへのオマージュがなかったとしても、最高傑作であることはゆるぎない。
最高のファーストシーンと最高のラストカット、この間を埋める2時間には、アメリカ映画が失ってしまった、たとえばジョン・フォードの映画にあったような、映画の瞬間に満ち溢れている。
それをこんなブログで言葉で表現することはとてもできない。
モンテ・ヘルマンというまったく新しく、未知の映画作家の誕生に乾杯!!
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