2012/01/22

『エッセンシャル・キリング』、『アンナと過ごした4日間』早稲田松竹

『エッセンシャル・キリング』

イメフォで見たものは、別の小屋でかかったときに見直す、これ常識。

『果てなき路』も、早稲田松竹、もしくはバウス待ちだね。

やっぱり、スコリモフスキは音が凄い!

冒頭の中東の砂漠もヘリの音がベースにありながら、プーンというハエの音が効いてる。

全体的に音楽といよりもオリエンタルなノイズとでもいうべき異様な音響が支配している。

この辺、『ゼア・ウィルビー・ブラッド』なんかも連想させる。

スタイルは完全にアメリカン。

全編手持ちで、カットを短く編集でたたみかけていく。

ときどき、バチーンとロングのフィックスでキメたりして、カッコいいなあ。

森の中に深く、じわーっと入り込めたね。

いよいよ、映画がしみ込んできた感じがする。

映画を見ながら、子供のころテレビで見た『暴走機関車』のことをずっと思い出していた。

 

『アンナと過ごした4日間』

公開から年に1回のペースで見直しているなあ。

これで3回目。

前回バウスで見た時も、今日のようなどんよりと泥るみ、凍りつくような天候の日だった。

だから余計にジワ~っときちゃうんだよ。

息は白く、空はグレー、窓の明かりは滲み、夜は沈むように深い。

ヴィスコンティ、ブレッソン、ジェームズ・グレイが映画化した『白夜』は、

スコリモフスキにこそ映画化してほしい。

もちろん、ポーランドを舞台にね。

 

『アニマル・キングダム』TOHOシネマズシャンテ、『無言歌』ヒューマントラストシネマ有楽町、『帽子箱を持った少女』ユーロスペース

『アニマル・キングダム』

タランティーノ様が年間第3位にお選びになった映画とのことであるが、

ベン・アフレックの『ザ・タウン』みたいなのを期待していったのだが、

なんだか、ダルデンヌ兄弟みたいなの見せられちゃったなあ。

せっかくの犯罪映画なのに、みんな椅子に座ってしゃべってるだけなんだよ。

ちょっと、肩スカシしだったかな。

主人公がTシャツの兄ちゃんではテンション上がんないよ。

おばあちゃんが犯罪チームの胴元って設定はいいし、

色味とかもメルボルンをロスっぽく撮ってるところなんか、いい塩梅なんだけどね。

監督が映画見るの嫌いで、本と音楽ばっか聞いている人らしいんで、こんなもんすかね。

 

『無言歌』

ついにワン・ビンデビューしました。

どえらく長くてゴツいドキュメンタリーでゴリゴリいわせている人というイメージなんで、

ビビリまくって敬遠してたんだけど、凄かった。

こここそがガチ地獄!ともいうべき場所で、極限の悲惨さが描かれてるんだけど、

映画美が炸裂してて、目をそむけたくなるような惨状が展開されているのにもかかわらず、画面に目がクギ付けになり、時間を忘れるくらい堪能した。

ときどき、ゴビ砂漠が西部劇にでてくるアリゾナの砂漠のように見えてしまうんだ。

あの管理事務所の建物の扉の所での奥さんのシルエット、仮にあれがジョン・ウエインであったとしてもなんら違和感がない。

あと、極限度でいえば『エッセンシャル・キリング』のことも思い浮かべた。

やっぱ、中国にはいるね。

韓国が熱いっていつたって、ジャンクー、ワン・ビンクラスの人いるかい?

あやうくスルーしかけたが、一生の不覚をとらずに済んだ。

 

『帽子箱を持った少女』

問答無用。

バルネットがかかるのであれば、なにも考えずに何度でも繰り返し、映画館にいけばいいだけ。

今日は活弁つきで、山崎バニラさんという方だったのだが、上手かった、楽しかった。

 

いやあ、今日の朝メシ、昼メシ、晩メシの3本立て、ガツっと腹ごたえあったね。

満腹、満腹!

 

2012/01/20

『ヘンリー&ジューン』DVD 

ここのところ、『ミネソタ大強盗団』にハマっていて、

DVDでちょこちょこツマミ食いするたびに、いいなあって、しみじみ感じている。

そろそろ、『ライトスタッフ』も見直したいなあと思っているのだが、

あれは尺が長いからなあ。

フィリップ・カウフマンね。

『ヘンリー&ジューン』は初見。

『存在の耐えられない軽さ』と姉妹編といってもいいかもしれない。

もちろん二作とも超有名な原作があるわけだが、似ている。

このふたつを見ると、なかなかきわどいラインをいったりきたりしていて、

調子のいいところは、ベルトルッチ。

ややもすると、『愛人/ラマン』になりなねない部分もある。

しかし、そのギリギリさが大きな魅力になってると思うね。

それはやっぱり、カメラと照明がいいからなんだ。

完全にヨーロピアンスタイル。

カウフマンはものすごく教養がある人で、

そもそも、監督になる前はヨーロッパを放浪して、そこでヘンリー・ミラーとアナイス・ニン本人と交流があったとかなかっとかという人。

かなり、ヨーロッパ寄りなんだね。

ヘンリー・ミラーといえば、『北回帰線』は、数少ない読むのに挫折した小説のひとつだ。

この映画のヘンリー・ミラーや『存在の耐えられない軽さ』のダニエル・デイルスは共に最初に登場した時は、なんてイヤミな感じの男なんだ、こいつにつきあっていくは苦痛だなあと思わせるんだけど、だんだん、弱さとか、純粋さみたいなものがあらわになって、共感とまではいかなくても、そんな悪いやつじゃないって思えてくるんだ。

でも、最大の魅力はなんといっても、有無を言わせぬ女優の存在感だね。

『存在の耐えられない軽さ』は、ジュリエット・ビノシュとレナ・オリンという絶妙なところを突いてきたけど、

マリア・デ・メディロスとユマ・サーマン が並んだだけで激勝でしょう。

圧倒的な魅力を放ってたね。

キャメラが恋してる感じ。

撮影のフィリップ・ルスロって方は知らなかったけど、そうそうたる映画を撮ってる重鎮だった。

ってことで、ますますカウフマンに対する興味が深まった。

『アウトロー』の最初の監督だった人で、ブルース・サーティスとイーストウッドをつないだ張本人で、さらに『レイダース』の原案にも名を連ねる。

『ワンダラーズ』が見たいなあ。

 

2012/01/17

『ヘルハウス』DVD

お上品な場所に住んでいるもので、いきつけのツタヤには置いてないのだが、

いつもと違う店舗にいったら普通にあった、しかも2本。

やっと見られるじゃん。

良くも悪くも、映画はハッタリっしょ!ということを身をもって教えてくれる映画だ。

古城ドーン!

オドロオドロしいだろ~

とんでもねえことがおっぱじまっちまうぜ!

と脅しつつ、大したことは起こらない。

シャンデリアが落ちてきて下敷きになったり、

猫に引っかかれたり、

テーブルがバンバン動きだしたり、

霊がのりうつって発狂したり。

極めつけはよくわからない除霊マシーン・・・。

ひとつだけ勉強になったことがある。

除霊マシーンの効力は鉛を通さないということ。

そして悟った、

ゴシックホラーは大人が見ても怖くないということを。

また、賢くなってしまった。

 

2012/01/14

『断絶』、『果てなき路』シアター・イメージフォーラム

『断絶』

シネヴィヴァン六本木でリヴァイヴァル公開を見たのは95年かあ。

ヴェンダースみたいなロードムービーを期待して行って、よくわからなかったんだよね、あのときは。

それから、DVDを買って、だんだん好きになっていった。

ヘルマンといえば何と云っても『コックファイター』に魅了されまくって、それ軸にして『銃撃』とか『旋風の中に馬を進めろ』と広げていった。

『断絶』を好きって、なんか映画ファンとしてもアウトロー気取ってるようで気持ちがいいんだ。

フランス映画好きのようにアート志向じゃないよって釘差しつつ、

かといって、ベタなアメリカンニューシネマともちょっと距離を置くが、

でも一応、カーレースの映画でもあるし、アメリカ映画には違いないよ、と。

これを好きっていっておけば、ナメられないってかんじがあったよね。

感覚としては、アメリカンニューシネマ+『気狂いピエロ』ってところ。

ガソリンスタンドやダイナーなんかでダラダラしてるところが異常にいいんだよね。

車を爆走させることにはほとんど興味がないというね。

ウォーレン・オーツはもちろんいいんだけど、

かっこいいマシンに乗ってる男なら誰にでもくっついていっちゃうローリー・バード(アート・ガーファンクルの恋人だった人で、79年に自殺している。『果てなき路』は彼女に捧げられている)という女の子の薄さがなんともいい。

『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』の女とは逆で、『ダーティ・・・』のほうは、うぜえなこの女、置いてっちまえ!ってないがしろにされてるんだけど、『断絶』は尻軽であっちこっちマシン(男)を乗り換えながら、最後は、ハーレーの男とどっか行っちゃうってのがあっさりしてていい。

まあなんつっても、改造型シボレーがキメ手だよね。

ヘルマンは70年代においては、アルトマンと両巨頭だね。

 

『果てなき路』

いくら、『断絶』や『コック・ファイター』がいいといっても、これは次元が違う。

21年間のブランクの間にヘルマンは一旦死んで地獄に堕ちて、まったく新しい映画作家ヘブンとなってよみがえったのだ。

冒頭1分だけで、全身が震えるような興奮を覚えた。

21世紀の最高傑作じゃないかと思えるくらいに。

劇中、数々の映画が登場するが(ヘルマンってシネフィルだったんだ!)

まずもって、最初でノックアウトされてしまった。

ファーストシーン、ノートパソコンのモニターにゆっくりカメラが寄っていって、パソコンの中で再生されているムービーの中の世界に入り込んでゆく、

そこでは、ベッドの上で映画の中の映画の主演女優ヴェルマがドライヤーでネイルを乾かしている、今世紀最高のショットいってもいい、素晴らしいショット、ここで流れる曲!

“HELP ME IT THROUGH THE NIGHT”!!!!!

他に引用されているどの映画よりも、ここで泣けない奴はモグリだ!

シネフィルを名乗っているのなら今すぐやめるべきだ。

プレストン・スタージェスやビクトル・エリセやベルイマンなどがセンスよくチョイスされていようが、フラーやアルトマンの名が口にされようが関係ない、

そんなことはどうでもいいのだ。

この曲を流されたらもうあと2時間、なすすべもなく全部ヘルマンにもってかれるよ。

ジョン・ヒューストン。

『ゴングなき戦い(ファット・シティ)』。

あまりにもすばらしいこの女優シャニン・ソサモンとステイシー・キーチの肌着姿がオヴァーラップでだぶってしまい、やられた!と。

クリス・クリストファーソンの曲だよ!!

『果てなき路』のなかでどんな引用よりも感動的な引用でしょ。

パンフレット買って読んだけど、誰もそのことには触れてないね。

もちろん、この映画はそれだけじゃない。

仮に、ヒューストンへのオマージュがなかったとしても、最高傑作であることはゆるぎない。

最高のファーストシーンと最高のラストカット、この間を埋める2時間には、アメリカ映画が失ってしまった、たとえばジョン・フォードの映画にあったような、映画の瞬間に満ち溢れている。

それをこんなブログで言葉で表現することはとてもできない。

モンテ・ヘルマンというまったく新しく、未知の映画作家の誕生に乾杯!!

 

2012/01/08

『テトロ 過去を殺した男』シネマアート六本木

一昨年、ラテンビート映画祭にて新宿バルト9で限定公開されたときは、

デジタル上映ながら、素材があまりにも劣悪過ぎた。

画質はVHS並み、音声はブツブツ。

まともに見たとは云い難いクオリティの上映だった。

ようやくの一般公開。

シネマアート六本木のスクリーンは、バルト9よりもはるかに小さいが、

今回はまともな素材(ブルーレイ?)だったので、問題なく堪能できた。

『テトロ』は、コッポラの最高傑作といってもいいと思う。

ワンカット、ワンカットが身体に沁みこんでくるようで、

久々に、この映画を自分の中に取り込んで、自分のものにしたいという欲望を覚えた。

ヴィンセント・ギャロは、『エッセンシャル・キリング』でもそうであったが、

芝居云々というより、被写体としてそこにいるだけで、画面を映画にしてしまう男だ。

巨匠と相性がいい役者なのかもしれない。

そして、コッポラとは前作『胡蝶の夢』からのコンビネーションとなるゴリホフによるスコアは、この映画のもうひとりの主役といってもいいほど重要であり、素晴らしい。

ストーリーをすべて分かった上で見ると、最初からそういう目で見るわけで、

そうすると、ぐっと細部に入り込むことができ、初見より数倍、いや、数十倍作品に近づくことができる。

やはり、映画は2回目以降からの鑑賞からいよいよ本腰のパーソナルな付き合いが始まるのかもしれない。

まだまだわからない部分は山のようにある。

ファーストカットからラストカットまで続く、光と反射のイメージ。

ギャロが「光を見るな」というが、この光と反射の断続的なイメージは何を意味するのか。

その謎は、鏡で反転させないと読めない原稿にもつながってくる。

他にも、見るほどに、考えるほどにミステリアスな要素がギッシリと詰まっている。

また、生涯を共にする映画が一本増えた。

蛇足だが、映画の終盤、ギャロ一行がオープンカーでパタゴニアに向かうロードムービー感を見ると、ケルアックの「路上」の映画化はコッポラ自身に演出をしてほしかったなあという思いがぬぐいきれない。

「路上」のラストは、ほとんどコンラッド的、すなわち『地獄の黙示録』なのだから。

   

 

Tetroalonecut
『テトロ』の“アローン”

1023495_lcut
『心のともしび』のジェーン・ワイマン

サングラスが似ているというだけで、サークを連想してしまった。。。 

  

2012/01/04

『君がいた夏』DVD

1988年の作品。

その頃といえば、ちょうど「ロードショー」をむさぼり読み始めたころで、

ジョディ・フォスターがピンナップを飾ることも多く、

だからからか、『告発の行方』や、この『君がいた夏』のジョディがイメージとして強く印象に残っている。

しかしながら、『君がいた夏』は未見のままであった。

帰省の新幹線の中でなぜか急に見たくなってしまい、レンタリング。

ずっと思い描いていた通りの映画だった。

原題は“Stealing Home(盗塁)”。

なるほど、そういうことか。

もちろん、ロバート・マリガンの『おもいでの夏』の系譜ド真ん中の映画なわけだが、

80年代らしく、『ダイナー』とかあのあたりの青春映画の香りも加わっている。

16歳(!?)のジョディがオープンカーを運転しながら、助手席の少年に煙草やサングラス、女性とのトークの作法などをのレクチャーをするところとか、アメリカンっていいもんですね、って感じ。

男の子は、そんなアメリカ映画を見て大人の勉強をするわけだが、最近はそういう映画がないんで、男の子たちはかわいそう。

煙草の吸い方、デートの誘い方なんかは映画で覚えるもんでしょうに。

ノスタルジックな映画って、例えば、『スタンド・バイ・ミー』とかも、大人が楽しむ用かもしれないけど、多感な少年期に見ると一生忘れられないもんになるよね。

少年から大人になるプロセスが描かれてるから、自分と重ね合わせてしまうんだ。

『おもいでの夏』もそうだね。

デビット・フォスター大先生によるスコアがもうスースーしちゃうほどクリスタル感醸しだしちゃってて、必要以上に爽やかになっちゃってるけど、

こういう小品は、もっともっと見たいなあ。

“青春映画”ってジャンルは割と好きだ。

 

2011/12/31

2011年ベスト&ワースト10

ベスト10

1 ヒア アフター
2 アンストッパブル
3 ザ・ウォード/監禁病棟
4 エッセンシャル・キリング
5 愛の勝利を/ムッソリーニを愛した女
6 トスカーナの贋作
7 ザ・ファイター
8 プッチーニの愛人
9 SUPER8
10 ソーシャル・ネットワーク

 

ワースト10

世界侵略:ロサンゼルス決戦
キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー
スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団
英国王のスピーチ
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
フェア・ゲーム
コンテイション
ツリー・オブ・ライフ
シリアスマン
トゥルー・グリッド

 

『僕の彼女はどこ?』DVD

一年の締めくくりに、最高の一本。

ダグラス・サーク監督、1952年の作品。

洗練に洗練を極めたカラー。

美術の見事さ、カメラワークの流麗さ、

オシャレで、オシャレで、

可愛らしくて、可愛らしくて。

いやあ、映画って本当にいいもんですね。

そして、映画ファンであってよかった。

そんなふうに思わせてくれる映画でございました。 

今、この国は究極の試練の時を迎えているわけであるが、

人間は、こんな凄いものをつくれる生き物なんだと考えると、

身体の芯から力がわいてくる気がする。

ボクたちはみんな映画の子なんだ。

来年も、また、生きるぞ!

 

2011/12/25

『歴史は女で作られる』シアターイメージフォーラム

最初に見たのは、衛星放送だったか。

困ったことに、これのどこが名作なんだと思ってたのだが、

やっぱり、映画館で見ないとね。

小さな画面で見たものとは、まったくの別物だった。

シネマスコープの中の圧倒的に豪華な世界に目を奪われ、

ストーリーがまったく頭に入ってこないほど。

オフュルスのクレーンワークは、

むしろシネマスコープでこそ本領を発揮するものだったかもしれないと思う。

これは、観客を選ぶ映画だ。

映画の贅沢、ここに極まれり。

 

フォトアルバム

contact


ads by laffblo

ads by laffblo

bs221b

  • QLOOKアクセス解析

cacc

  • QLOOKアクセス解析